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いわき海洋調べ隊「うみラボ」活動のきろく

いわき市に誕生した、有志による団体「うみラボ」。けんきゅう員が日々の活動やイベントのお知らせを綴っていきます。

アクアマリンふくしま「第9回調べラボ」レポ

皆さんこんにちは。うみラボけんきゅう員八木です。

先日1月17日に今年初となる調べラボが開催されました。少し遅くなってしまいましたがその時の様子を皆さんにご報告です。今回はうみラボ主席けんきゅう員小松が不参加のため、臨時で八木が担当します。拙い文章ですがよろしくお願いします!

既にいつものようにうみラボけんきゅう員yajifunさんがtogetterにもまとめてくださっているのでそちらの方も合わせてお読みください。
togetter.com


さて!

1月に入り暖冬と言われた今期も冬の寒さが厳しくなっておりますが、いわきにはこの寒い冬にぴったりの食材がある事はご存知でしょうか。まず頭に思い浮かべるのは、いわき市の魚でもありますメヒカリ

唐揚げ美味いっすよねぇ。一夜干し美味いっすよねぇ。しかし今回はそのメヒカリではなく!

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アンコウ!!!

アンコウと言えば大洗のあんこう鍋がここ数年で一気に知名度が上がり有名になってますが、いわきでも大洗に負けず劣らず美味しいアンコウが水揚げされるんですね。特に茨城の北部からいわきにかけては一切水を使わず、あんこうと野菜(主に白菜大根)の水分だけで作る『どぶ汁』が有名です。

で、今回の調べラボ試験操業試食会は、なんとこの獲れたてのいわき産あんこうを使った『あんこう汁』が頂ける!! しかも無料で(入館料は必要)!! という訳で非常に楽しみにしておりました。

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見たまえ!!浮かんでいるのはあん肝だぜ!!

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味噌仕立て。コクがあって非常に美味かったでございます。


今回も会場からは「美味しい美味しい」の声が上がっておりました。是非この冬はいわきで美味しいあんこうを召し上がって頂きたいものです!

いわき駅にありますこの「いわき市総合観光案内所」にも「あんこう鍋MAP」というものがあるので、是非そちらも参考にいわきをお楽しみください

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さて、あんこうの試食も大事ですが調べラボはやはり調べてこその『調べラボ』「でも冬場はいつものうみラボ1F調査やらないから何を測るんだろう」と思っておりました。しかしそこは天下のアクアマリンふくしま!ちゃんと試料は用意します! さすがや!さすが『行って良かった水族館ランキング全国2位!』器が違う!

その方法はと言うと!

調べラボ2週間前の富原せんせい「今回は小名浜の魚測りたいんですよね。なので堤防から釣ります。良かったらご一緒どうでしょう」ということで、堤防から釣り!!! わいいつもやってる釣り!普通に釣り!これが2位!!

という事でアクアマリンふくしまの皆さんと一緒に二週にわたり、堤防からの釣りを楽しんで試料調達に勤しんで参りました。今回はその「小名浜の堤防から釣れた魚」の測定結果をお知らせいたします。釣り人にとっても身近な小名浜の魚。5年経とうとする今現在どの程度の線量なのかもう一度知識をアップデートする良い機会なのかもしれませんね。そういえば「堤防で釣れた魚」のモニタリングっていうのもあまり聞かないですしね。

今回調達した試料はコチラの魚たち

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釣り人にはおなじみのどんこ!(標準和名:エゾイソアイナメ

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ヒラメ!

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クロソイ!

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メバル!(標準和名:シロメバル

なかなか良い型の興味深い魚が揃いましたね。
早速測定結果及び富原せんせいの解説に行ってみたいと思います


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エゾイソアイナメ 小名浜港 20尾 N.D.

富原せんせい「東北を代表する魚でドンコの名前で親しまれています。夜行性のため夜釣りで良く釣れます。アクアマリンふくしまの調査で震災の年2011年の6月に採集したものは3000Bq/kgほどありましたが、この数年はN.D.が続いています。2-3歳で25センチほどに育って最大35センチまで成長します。寿命は8年ほどで漁獲されるのは2-3歳がほとんどです。釣り人感覚ですと、貪欲に餌を食いに来る様子から、成長が早く、代謝も早いのではないかと思っています。ですので、事故当初は汚染された餌生物をたくさん食べることによって放射性セシウムをたくさん蓄積しましたが、現在は汚染されている餌生物も少なくなり、世代交代と相まって、小名浜港で釣れる魚の中では何よりも汚染度の低い魚になったのではないかと推察しています。逆に原発近傍のエゾイソアイナメは検出されるかもしれませんね。」

なるほど。

確かにどんこは外道として良く釣れる魚で、この時もテトラポッドの隙間に仕掛けと餌を垂らす「穴釣り」で頻繁にアタリがありました。30cm以上のどんこもあまり見かけないので30cmくらいまでのサイズなら、このような結果になってくるのではないでしょうか。35cmほどに育つらしいですが、それでも一匹で測れるほどの量はないのでそのサイズのものを測定するとしたら35cm程度のものが複数匹必要となるので測定は難しいかもしれませんね。

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ヒラメ 小名浜港 N.D.

富原せんせい「50㎝ヒラメで2歳かな?と思ったのですが4歳の雄でした。雄は雌よりも成長が遅いので60㎝以下でも震災前生まれの個体がいます。今回の個体は原発事故後生まれですでに汚染が治まった海域で成長したためか放射性セシウムは検出されませんでした。我々の調査では2013年に小名浜港で採集したヒラメで数千Bq/kgの個体がいましたが、その後は低くなり2014年で10Bq/kg前後になりました。小名浜港のヒラメは釣り人から提供されることが多かったのですが、最近は低線量なことがわかって食用に持ち帰っているのか、検査の持ち込みは少なくなりました。そのため2015年はデータがありません。ぜひ「うみラボ」で小名浜港のヒラメを釣っていただきたいですね。」

ヒラメはうみラボ1F調査でも何匹も釣っているので、このサイズなら予想通りの結果と言って良いでしょう。あとは60cmを大きく超えるような個体を測定してみたいですね。


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クロソイ 小名浜港 N.D.

富原せんせい「良型のクロソイです。船釣りではよく見かけるサイズですが小名浜港内のサイズとしては大きいです。耳石から判別したら4歳でした。クロソイはシロメバルやキツネメバルなどに比べると成長が早く、震災前生まれのクロソイは小名浜港ではなかなか見ることはできません。成長が早いということは、取り込んだ放射性セシウムの代謝排出も速くなります。他のメバル類の魚に比べて低汚染なのではないでしょうか。」

俗に言う「メバル類の魚」は「比較的線量が出やすい魚」でくくられている事が多いですが、メバル類でもクロソイはこんなに成長が早いのですね。このサイズ(44cm)で4歳とは。。。ちなみに釣ったのは僕ですが(ドヤ顔)このサイズでこの年齢なら、小名浜近隣で釣れるクロソイはほぼ5歳以下になってくるのかなと思います。


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シロメバル 小名浜港 4個体合計 N.D.

富原せんせい「25〜30㎝弱の良型メバルです。小名浜港シロメバルは15㎝ほどの1-2歳魚が多く、アクアマリンの調査でも毎年、小型の個体を選んで測定していましたが、この数年はN.D.です。今回は大型のシロメバルを測定してみたいと頑張って釣ってきましたが結果は小さい個体と同様にN.D.でした。耳石を確認すると4、5、5、6歳。でかいやつは今ちょうど産卵期で満6歳です。30㎝を大幅に超えないと検出されないかもしれませんね。」

最後にメバルです。

今回はアクアマリンスタッフ吉田さんが俗に言う尺メバルを釣り上げましたが、死後硬直で縮まり当日測ったら29.6cm。と尺認定されませんでした(笑)実はこれ私も以前やられてます(笑) そもそも30cmを超える尺メバルというものは(特に陸からの釣りにおいては)釣り人の憧れ、ステータスにもなる大きさなんですよね。特にここ10年くらい前からメバルのルアー釣りが流行りだしてからは、メバル釣りが好きな人は血眼になって追い求めるほどのロマンがあるようです。そういったメバル釣りのHP等を見ると「一般的にメバルが30cmを超えるには10年程度かかる」と書いてある事が多いようです。

ところが! この尺メバル(吉田さんに敬意を表してあえて尺メバルと呼ぶ)は満6歳。

先ほどのクロソイもそうですが、やはりこのいわきの「潮目の海」はクロソイやメバルアイナメが成長するのにもの凄く適していて、栄養豊富な素晴らしい海なんだと実感しますね。


またそれと同時に実感する事がもう一点。

私は十数年ここいわきの海でメバルも釣ってきておりますが、堤防から30cm以上のメバルを釣った事は2回だけ。アクアマリン吉田さんも私以上に長くこの海で釣りをしていますが4匹ほどしか釣った事がないそうです。それほどまでに貴重というかレアな存在なのです(もちろん西の海ではもっともっとレアになる)

それに今までのうみラボの調査から今現在比較的線量の出やすい魚の傾向として、特に1Fに近い場所でなければ
①比較的浅場に生息する魚で
②あまり回遊をしないで一カ所に居着く魚で
③長寿で震災時既に成魚で
④成長速度が遅く短期間で重量が増えない魚
である事がわかってきています。

この条件に合う魚だとメジャーな魚だとやはりメバルが筆頭にあげられるのではないかなと。またその他に「沿岸性の強いカレイ類」などもいるとは思います。ですので、もうちょっと「沿岸性の強いカレイ類で大型なもの」のサンプルも必要かなとは思いますが、今現在この小名浜の海域で30cmのメバルがこの数値なのであれば、「いわきで陸から釣れる魚を食べたいけどもう大丈夫かな」という人の質問に対しては、「もう大丈夫じゃないかな」と言えるんじゃないかと個人的には思いますね。

ということで1F沖調査が始まるまではまた「小名浜の魚」の調査をもう少ししてみたいなと思います!