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いわき海洋調べ隊「うみラボ」活動のきろく

いわき市に誕生した、有志による団体「うみラボ」。けんきゅう員が日々の活動やイベントのお知らせを綴っていきます。

アクアマリンふくしま「第8回調べラボ」開催レポ

みなさんあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。12月20日開催された調べラボの模様、年末忙しくてすっかりアップできずにおりましたが、遅ればせながらご紹介すべくこうしてキーボードを叩いております。遅くなってしまいましたが、ぜひ情報のアップデートをお願いします。

2015年最後の調べラボ。なんだかんだでもう第8回目です。じわじわと認知度も増していますし、試食はやはり大人気で毎回準備している100食も毎回完食してしまうほどです。試験操業の福島の魚が、こうして皆さんに愛されていること、いやあ、素晴らしいですね。

今回の調べラボ、特撰素材が「福島県産のマダラ」です。なにやらかなり個体数も回復してきており、一部報道では「震災前の5倍」ということですのでね、これはやはり食べずにはいられまいということで、今回は試験操業のマダラを使った「鱈汁」、そして「真子と白子の煮付け」の2種類が用意されておりました。

鱈汁に真子と白子の煮付けをぶち込んで頂くわけですが、この鱈のダシというのは本当にこうさっぱりしていて、今の時期に合いますね。浪江の地酒「磐城壽」の山廃なんかを熱燗にして合わせたいところですねーすいませんマニアックで。

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こちらが鱈汁。身体に染み渡ります。

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真子(卵)と白子の煮付け。少しあまじょっぱくてたまりませんがコレステロールには注意ですね。またこの甘みが熱燗に合うんだナァ〜。


さて、試食もほぼほぼに、放射性物質の計測です。先日のうみラボでは、久しぶりに海底土も採取しておりますので、こちらも計測しておりますので、海底土からざざざっと振り返って参りましょう。

試料① 原発沖1.5km沖海底土 Cs合計57.9Bq/kg

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昨年は100Bq/kgは超えるような海底土が多かったですが、最近の調査では50Bq/kg台と順調に下がっています。富原せんせいによれば「原発前の海域は太平洋に面しているので拡散希釈されやすいのでしょう」とのこと。確かに海底は「泥」というより「砂」に近いですし、原発前の海域はかなり拡散されるようですね。

そして、あれ、放射性ヨウ素が検出されてるように見えます。

これ、アクアマリンふくしまの測定機器は「NAI」なのですが、核種の分解能が低いため、自然界にある「放射性鉛」を放射性ヨウ素として検出してしまうそうです。土壌の中には放射性鉛は多く入っていることも多いのでNAIでは正確に土壌の放射性物質量を測定できませんが、同一条件で測定を続けることによってある程度の増減がわかるとのこと。ちなみに、これが放射性ヨウ素だった場合は、半減期が短いので1ケ月後くらいに再度測ると、この値がかなり減るわけですね。そうすることでヨウ素か鉛かの見分けはつくということですね。ふむふむ。

試料② ヒラメ(原発沖3km沖) N.D.

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続いての検体が原発沖3kmと比較的沿岸のヒラメですが、こちらはN.D.でした。ヒラメ、2015年に入りかなり低くなってきましたね。今回も原発直近でN.D.というのは喜べる結果です。富原先生に耳石を鑑定してもらうと「3歳」、つまり「事故後生まれ」ということになりますので、予想通り「N.D.」といわけですね。

ヒラメというと、汚染された海底の上に生息しているため、かなり放射性物質を吸収してしまっているように考えられている魚ですが、実際にはかなり下がっておりまして、我々が2015年に釣って計測したヒラメ、最も高いものでも20Bq/kg台と、かなり下がってきていますね。

富原せんせいによれば、なぜヒラメから放射性物質が検出されにくくなってきているかと言うと、
①海底土から直接、魚に放射性セシウムは移行しないこと。
原発前の海域の海底土自体の汚染がそれほどでもないこと。
③ヒラメ自体が結構移動すること。
④成長が早く世代交代も早いこと。
⑤環境水とエサが汚染されていないこと。などがあげられます。

常磐沖で漁獲されるヒラメのほとんどは2〜3歳です。つまり、漁獲されるヒラメのほとんどが「震災後生まれ」ということですね。震災前生まれでも漁協の設定する自主基準50Bq/kgを超えるような個体は見つかりにくくなっています。相馬沖やいわき沖に限定すれば、試験操業の対象になっても問題なさそうです。

試料③ キツネメバル原発沖10km圏内)4尾測定 Cs合計58.7Bq/kg

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うむ、これはやはりセシウム検出されましたね。4尾合計ですが58.7Bq/kgと少し高めに出ています。富原せんせいに耳石を見て頂くと、2個体が6歳、もう2個体が7歳ということで、4尾すべてが「事故前生まれ」ということになります。

事故当時成魚だった7歳魚が混ざっていますので、やはり出てしまいますね。キツネメバルは根魚でほとんど移動しません。しかも長寿の魚なので、事故直後の汚染水の大量流出の影響がまだ残っていることも多いです。これはシロメバルなども同様ですね。

とはいえ、それでも100Bq/kgを超えるような個体は滅多に見つからなくなっているのは朗報と言ってよいと思います。

試料④ アイナメ原発沖10km) N.D.

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婚姻色の出たマッキッキのアイナメです。43cmということで中型ですかね。富原せんせいに耳石を見て頂くと「3歳」とのことでした。事故後生まれですので大きな汚染は見られませんね。ただですね、アイナメという魚は、小型(若いアイナメ)だとより沿岸に生息するため、放射性物質が検出されやすいという特徴があります。これがさらに大型になると、少し沖合に移動するので、その過程で放射性物質の排出も進み、線量も低くなってくるんですね。

アイナメの動向をさらに詳しく知るには、原発沖3kmくらいで「小型」を釣り、10km沖くらいで「大型」を釣ると、その成長過程でどの程度セシウムの排出が進むのか理解できるということですね。ということは、我々はさらに狙いを絞ってアイナメを釣っていく必要がありそうです。来年のうみラボ、さらに魚を釣りまくらねばなりませんな。


というわけで、2015年最後の調べラボ終了となりました。原発沖調査「うみラボ」は、4月までは冬場のため延期となりますが、計測イベント「調べラボ」は、1月17日を予定しております。次はどんな試食が出るのか! 乞うご期待!!