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いわき海洋調べ隊「うみラボ」活動のきろく

いわき市に誕生した、有志による団体「うみラボ」。けんきゅう員が日々の活動やイベントのお知らせを綴っていきます。

アクアマリンふくしま「第5回調べラボ」開催レポート

みなさんこんばんは。うみラボけんきゅう員の小松理虔です。

ちょっとご報告が遅くなりました。9月末に開催された「第5回調べラボ」の模様について、こちらうみラボブログでもご紹介致します。すでにですね、当日の模様はうみラボ首席調査員の八木ぴぽさん、調べラボ上席けんきゅう員のyajifunさんのお2人がtogetterにまとめてくださってますので、そちらもご覧下さい。

togetterまとめtogetter.com

今回の調べラボで、実施回数も5回目ということで、アクアマリンふくしまでも恒例のイベントとなって参りました。イチエフで釣り上げた魚の放射線を測り、試験操業の魚をおいしく食べ、そして魚のこと、福島の海のことをもっと深く学ぶことができる。そんなイベントとして少しずつ定着しているようで、大変うれしく思います。

今回計測するのは、9月6日のうみラボにて採取した魚になります。すでに、前回のブログエントリでヒラメに関する集中レポートを掲載しておりますが、今回の調べラボでは、それ以外の、イチエフ沖のメバルアイナメ、サンマリーナのハナザメ、小名浜湾内のボラ、この4種類について計測することになっております!!

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計測にあたるのは、アクアマリンふくしまの富原獣医。手際よく魚をさばき、細かくカットし、マリネリ容器に詰め込んでいきます。

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こちらは小名浜湾内のボラ。泥臭い魚だとよく言われますけれども、さばいてみると確かに泥だらけでありました。

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写真右下はボラのヘソ! これがなかなかの珍味なんだとか!



そして毎度おなじみ、調べラボ名物の試食コーナーですが、今回は試験操業で連れた「カナガシラ(金頭)」のブイヤベース! 非常にダシの出やすい魚で、もちろんお刺身なんかもいけるのですが、煮込み料理に使ってもおいしいとのこと。淡白な味なので洋風の料理にもぴったりであります!

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さて、肝心の放射性物質の計測結果をお知らせ致します。


試料①シロメバル / Cs合計43.6Bq/kg / 4個体で1試料 / 原発2km沖 / 平均全長30.8cm

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富原せんせいに「耳石」を見て頂くと、4個体は7〜10歳でした。10歳!!! メバルってそんなに長生きするんですね。

これだけ長生きするとなると、当然、事故後に汚染水の影響を受け、代謝が進んでいないことが想像されます。メバルは「原発近くに生息する魚で一番汚染が残っている魚」ですが、これは、根魚であまり移動せず、寿命も長く、魚食性もあるのが原因です。富原せんせい曰く「原発近傍の7歳以上のメバルを測るとこれぐらいは検出されますね」とのこと。

うむ。やはり「7歳以上のメバル」はしばらく注意が必要かもしれません。


試料②アイナメ / Cs合計8.16Bq/kg /2個体で1試料 / 原発沖2km / 平均全長39.5cm

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アイナメは40㎝ほどの個体2尾を測定しました。富原せんせいによると「いずれも2歳で事故後生まれ。少し検出されていますが、小型のアイナメは大型のものより浅い海域にいるので、原発周辺の海域では小型のアイナメのほうが大型のものに比べると高い傾向があるのかなと思っています」とのこと。

事故前生まれの50㎝を超える大型アイナメは、深い海に移動するため、汚染海域から離れるのだそうです。したがってアイナメは「大きいほうが排出が進んで低い」という傾向になる。メバルは大きいほうが年齢が高く線量も高い傾向にありますが、アイナメは逆になることもあるっちゅうことですね。

つまり、現在の当該海域は、アイナメが8ベクレルほど溜め込んでしまう程度には放射性物質がある、ということになるかと思います。引き続き「40cm以下のアイナメ」は釣り続けたいところですね。


試料③ハナザメ / Cs合計8.00Bq/kg / いわきサンマリーナで採取 / 全長90cm

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ここのところ継続して測っているサメ。今回は、富原せんせいがいわきサンマリーナで採取したハナザメです。

ハナザメは「海水温が高くなる夏から秋にかけて幼体がいわき沖にやってくる南方系のサメ」だそうです。今年は特に多く、小名浜港内でも目撃(釣れた)例が多数あるとか。90センチほどの大きさですが、富原せんせいによれば「今年生まれの個体」とのこと。

卵胎生のサメなので生まれた時にはすでに60センチほどあります。成長すると2〜3mにもなりますが、福島沿岸の水温では冬を越せないので大きなハナザメはほとんど見ることはありません。サメの仲間(軟骨魚類)は他の魚(硬骨魚類)に比べて放射性セシウムを蓄積しやすいので事故後生まれの個体でも少し検出されます。現在の福島沖の汚染レベルを知るには適しています(富原)」とのこと。

ううむ。アイナメと同じで、こちらも「現在の海域」を知るには適した試料ということですね。しかもセシウムを蓄積しやすいということですから、ハナザメから放射性物質が検出されなくなったときが、まさに「福島の海の完全復活」ということかもしれません。


試料④ボラ / Cs合計4.68Bq/kg / 2個体で1試料 / 小名浜港湾内 / 平均全長44.3cm

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今回の特撰素材のボラですが、富原せんせいが水族館周辺で釣りあげたボラです。

富原せんせい曰く「40㎝を超えると脂ものり刺身でもおいしく食べられます。たまに釣ってきたボラを刺身にして事務所の机に並べておくと、何の魚だかわからないけどおいしいって言ってスタッフが食べています。ボラって言うとみんな箸が止まりますけどね(笑)。小名浜は海がきれいなので泥臭さもそれほどありません」とのこと。

うおおおおおおお、マジですか! ボラなんて小名川でめっちゃ泳いでるじゃないですか! 40cmを超えると刺身で食える。。。。クックック。いい情報を知りました。

以下、富原せんせいの解説をそのまま掲載します。

「さて、計測結果ですが4.68Bq/kgですが検出されましたね。ボラは海底の泥を食むので調査を始めた当初は汚染がひどい魚だと思っていましたが、事故当年でも136Bq/kg(LB200での測定のため放射性カリウム分が少し上乗せされています)とそれほど高い値を示しませんでした。

当時の魚食性のスズキなどの魚は数千Bq/kgが当たりまえの時でしたので、泥からは魚には放射性セシウムはあまり移行しないのだと、ボラのおかげでおぼろげながら理解していました。

去年の測定データがN.D.でしたので今回もN.D.と思っていましたが少し検出されました。耳石を見ると2歳でしたので事故の直後の汚染水の影響ではなく現状の環境からの汚染だと思います。ただ、調べラボ開催中での試料の作成ということもあり、消化管の中の泥が試料に混ざった可能性もあります。消化管に泥がたくさんあるデトリタス食の魚を捌くときは注意しなくてはいけませんね。」

※デトリタス 生物遺体や生物由来の物質の破片や微生物の死骸、あるいはそれらの排泄物を起源とする微細な有機物粒子


今回は、計測した4試料すべてで放射性セシウムが検出されました。特にメバルは7歳以上ということで、高めの線量が出ることが予想されましたが、予想通りでました。しかしこれ、予想できるということがミソで、我々もかなり福島の海域の状況がわかってきたということができると思います。なんだかんだで2年やってますから、傾向が少しずつわかってきた気がします。

まあ、それでもだいぶ下がってきているとは思いますが。

一方で、アイナメの動向は、「若いほど浅い海域におり、現在の海域の影響を受けている」ことがわかってきました。大きければそれだけ溜め込んでいるというわけではないんですね。年齢によって生息している水深が変わってくると、それだけ汚染の状況も変わってくるということです。40cm以下のアイナメ、アイアイサー!

さて、次の調べラボですが、10月末を予定しております。次はどんな試食が食べられるのか!!! 舌なめずりして待ちたいと思います。

では。