いわき海洋調べ隊「うみラボ」活動のきろく

いわき市に誕生した、有志による団体「うみラボ」。けんきゅう員が日々の活動やイベントのお知らせを綴っていきます。

第9回うみラボ福島第一原発沖海洋調査(うみラボ編)

みなさんこんばんは。うみラボけんきゅう員の小松理虔です。5月16日に開催されました、第9回うみラボ福島第一原発沖海洋調査についてレポート致します。

今回からですね、なんとなんとなななんと、環境水族館「アクアマリンふくしま」と共同プロジェクト「調(た)べラボ」が始まりまして、土曜日の釣り調査が「うみラボ」、日曜日の放射性物質の計測が「調(た)べラボ」というようにですね、土日2日連続のプログラムとして展開していくことになりました!!! 8888!!!!

したいがいまして、

毎月第3土曜日「うみラボ」:いちえふ沖で海底土採取&釣り
毎月第3日曜日「調べラボ」:釣った魚の計測&試験操業の魚の試食

ということになります。

これまでは当日のうちに放射性物質の計測まで行っていましたが、最後まで見ると午後5時くらいになってしまい、ヘトヘトになってしまうんですよね。遠方から来る方の負担なども考えると、やはり2日間に分けたほうがいいだろうなということもあり、今回「調べラボ」がスタートするのを利用して、土日の分割調査ということになりました。

ブログのほうも、「うみラボ編」と「調べラボ編」の2回に分けてお送りしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


さてさて、今回の調査の模様ですが、第9回目にして初めての悪天候。出発時すでにドシャ降りの雨に見舞われまして、正直船出せんのかと思ったのですが、風もあまりないし、波も高くないということで、定刻通り久之浜漁港を出発します。

前回から調査に加わって頂いている、アクアマリンの吉田せんせい(下)。地元いわき海星高校卒業ということで、やはりいわきの海が似合います。憎いねえコノコノ!! 富原せんせいの右腕として、毎度適切なアドバイスを頂いております。

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久之浜を出ると、途中、広野火力発電所を通過し、およそ1時間ほどで、富岡町に到着します。富岡町では、海側から陸地を見学し、現在の状況などについて情報共有する時間となっています。

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上の写真は、福島第二原子力発電所(左)と震災瓦礫の減容化施設(右)。

福島第二原子力発電所は、今年に入ってすべての燃料が原子炉から取り出されまして、現在は発電をしていません。今は何事もないように見えますが、東日本大震災では、一時電源が喪失し、原子力緊急事態宣言も発令されているのですよね。つまりギリギリだったと。ここが爆発していたらと思うと思わず冷や汗が出てきます。

そして、出港から1時間ちょいで、福島第一原子力発電所に到着。

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霧でほとんど何も見えません。

この日は海上濃霧注意報も出てまして、非常に霧が深い。で、この霧の写真を見ると「うわあああ原子炉から蒸気が出てるぅぅぅ!」とか脊髄反射してしまう方もいると思うのですが、この海域って、この季節はまだまだ海水温が低いんですね。で、温かい空気が入ってくると、海水で空気が冷やされ、霧が発生することがよくあります。

いわきの沿岸部に住んでいると、5月から7月くらいにちょくちょく濃霧が発生し、沿岸部で滞留してしまうのをよく見るので、「あああ今日も霧だなあ」と思うんですこの時期特に。朝方の霧が深くて、小名浜に住んでいるとタンカーが警笛を鳴らすのが聞こえるので、その警笛で目が覚め、「ああ、今日は霧が出てるなあ」とかわかるんですが、遠方の方は心配されるかもしれません。

霧です。蒸気ではないので、どうかご安心を。空間線量も、富原せんせいの線量計で0.04μSv/hと低い。安心して調査に当たることができます。

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原発沖1.5kmのポイントに到着すると、さあ調査開始。

まずはエクマンパージ採泥器で、海底土を採取します。これですねえ、今でこそアクアマリンふくしま様のご協力のおかげで、毎回安定して海底土を採取できているのですが、第1回などは、鍋で海底の泥を掬おうとして大失敗してるんですよね。それから考えると、うみラボ、本当に進歩していると思います(涙)

で、海底土の採取が終わると、サンプル魚の採取に入ります。

この季節、まだ海水温が低く、この周辺の海域で釣りをするのは難しかろうと言う船長の判断により少し沖、原発から3km程度の海域で魚を狙います。

すると・・・・・



アクアマリンの吉田せんせいが幸先よくマガレイをゲット!!!

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続いてアクアマリンの富原せんせいも、大マガレイを釣り上げるっ!!!

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おおお!

この海域では今の時期マガレイが釣れるんですね! 

マガレイは、平成26年8月から試験操業の対象に加えられました。特に原釜産(相馬)、それから久之浜のマガレイも大型のものが多く、有名でしたよね。やはり煮付けで食べるのがうまい。たまりません。

船長曰く、震災前はこの深さ(30〜40m)ではマガレイは釣れなかったそうです。資源が回復している、あるいはそれに伴って魚の生態が変わってきているということが考えられるようです。

前回の調査でも、メバルが釣れずにマダラが釣れるという状況になっていましたが、この4年余りの禁漁措置、試験操業体制で、当該海域の魚の生態が変わってきているのは確かなようです。人の手が加わってこその漁場なんですね。

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この日は珍しくサバも釣れました。写真ものっけときます!!


さて、マガレイが数尾釣れると、魚群の反応も小さくなってしまい、そこからさらに沖に移動します。おおまかには「原発沖10km圏内」で再度釣り糸を垂れます!! この海域では前々回から継続調査対象になんている「メバル」を狙いますよ!

すると・・・・・・


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獲ったどーーー!!!!

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獲ったどーーーーーー!!!!

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獲ったどーーーーーーーーーー!!!!

「獲ったど」3連発頂きました。爆釣です。ありがとうございます。

釣りの醍醐味を皆さんに味わって頂きたいということで、今回から「貸し竿」システムが始まりまして、毎回ボランティア参加している釣りの専門家からレクチャーを受けつつ、釣りを体験できるようになりました。

数字だけ「○○ベクレル」という情報を得るのもいいのですが、こうして体感して、魚の重みを感じるからこそ、数字が立体的に、実感を持って感じられるということもありますので、こうして皆さんに釣って頂いているわけです。

釣りはやっぱり面白い!

ですから皆さん、せっかくここまで来たのだから、大物を釣って「獲ったどー!」がやってみたいと。初めて釣りをした方も見事30cm級のメバルを釣り上げまして、大満足の様子でした。原発沖という緊張感がありながら、自然の面白さ、福島の海の豊かさを感じて頂いたようです! 

いやあ写真が本当に楽しそうだ!!


というわけで今回の釣果!!

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シロメバル、ウスメバルアイナメ、マダラ、マガレイ、サバなどが釣れました。要するにこれらの魚の放射性物質を、次の日にアクアマリンふくしまで開催される「調べラボ」で測るというわけ。これだけサンプルが集まれば、非常に充実した計測になることでしょう!!

というわけで今回のうみラボ編は、こんなところです。計測の結果については、次回こちらにアップいたしますね。できるだけなるはやでアップいたしますので、少々お待ちを。