うみラボ新サイトオープンのお知らせ
いわき海洋調べ隊「うみラボ」の活動にご協力、ご賛同頂いている皆さま、いつもありがとうございます。
情報発信力アップのため、このたび、新しいサイトをオープン致しました。
うみラボの調査レポート、調べラボの計測データはなどは、すべて新サイトに掲載させて頂きます。
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うみラボ 事務局
☆祝☆調べラボ第10回! 開催レポート
みなさんこんばんは。うみラボけんきゅう員の小松です。
いやあ、調べラボ、今回で10回目ですよ。まさかぼくたち、地元の水族館と共同でこんなイベントをやることになるとは、発足当時は夢にも思いませんでした。アクアマリンふくしまといえば、福島に冠たる水族館。そこで活躍されている獣医の先生たちから専門的なお話を伺いつつ、こうして福島の海について知ることができるということ、改めて関係者の皆さんに厚く御礼を申し上げる次第でございます!
さて、まずは今回の調べラボ、試食特選素材からご案内していきます。調べラボでは、毎回福島の試験操業の魚を味わう試食を用意しているのですが、今回は原釜産のミズダコを使った「たこ飯」のはずが水が多く出てしまい「タコのリゾット」になりました。
いやあ、これですねえ、リゾットとしての完成度がめっちゃ高い(たこ飯としては破綻)。ミズダコからいいあんばいに水気が出て、お米にじっくりと旨味が周り、アツアツの仕上がりとなっていました。これ、お金取れる! まちげえねえ!
見て下さいこの賑わい。結局ねえ、うまそうな匂いに人間は勝てないんです。これがもうファイナルアンサーです。今回で10回目となる調べラボですが、結局、匂いがいい、あるいは見た目にインパクトのある試食が出るときが、なんだかんだで一番賑わいます。この間の木戸川の鮭を使った紅葉汁のときもすごかった。
思うのですが、ほとんどの皆さん「放射性物質」に興味があるわけではなく、「うまいもの」にしか興味がない。しかしそれが本質だと思うんですね。うまいものに釣られてこの部屋にやってきたら、何やら獣医の方が魚捌いてて、放射性物質について説明している。ああ、もうこんな風に下がってるのね、大丈夫じゃん。っつーかたこ飯うまい!
それでいいんだと思うわけです。というかそれがすべてなんです。普通に「福島の魚を食っている」という状況の積み重ね。遠回りなようですが、一番いいのかなと思った瞬間でした。やっぱり別に放射性物質のことなんてどうだっていいんですよ。流通してる魚は安全だし、第一うまいんだから。普通にうまさを堪能すればよし!
いや、まあ、その、別に放射性物質のことなんてどうでもいいわけではありません。一応我々、調べてますのでね(汗)。この日は、ここしばらく原発前では調査できていないので、小名浜港内で釣り上げた魚がメインになります。当日の模様をざざざっと写真で振り返って参りますね。
最初の検体であるアイナメ。今回は、アイナメ(小)と、アイナメ(大)と調査をしております。つまり年齢で見て、何かが変化があるかどうか見極めたるために、2試料を測定しています。アイナメ、刺身かこぶ〆ですよねえ。ああ食べたい。
マスメディアの皆さんと、観覧者の皆さんの両方に囲まれて調査を進めるアクアマリンふくしまの富原獣医。富原さんが捌く時の「おしゃべり」がとても勉強になります。できれば最前列で見るのがオススメですよ〜。おいしい食べ方なんかもレクチャーしてくれます。
今回は県外から大学生の方々も調べラボにいらっしゃり、かなり真剣な様子で調査を見守ってらっしゃいました。震災からもう5年が経とうとする今、こうして福島の海に関心を持ってもらって、我々もうれしいです。いい海を未来に引き継ぎたいですね。
こちらは計測担当のアクアマリン吉田さん。いつもうみラボでも多大なるご協力を頂いております。こうして専門性の高い方がやって下さるので、出てくる数値にも信頼性があります。こうして目の前で嘘偽りなく測って頂けるので、納得できますよね。
うみラボでは、アクアマリンふくしまが保有する日立アロカ製の測定器を使って放射性物質を測定しています。ストロンチウムやトリチウムまでは測れませんが、もっとも多く排出された「セシウム」の挙動だけでも充分有用なデータになります。
慣れた手つきで「耳石」を探す富原獣医。魚の年齢を見極めるため、毎回富原獣医には「耳石」という器官を採取してもらっています。耳石には年齢が年輪のように跡が残り、その魚が何歳かは肉眼でも確認することができます。
アイナメの耳石はとても小さく、たまに採取に失敗することもありますが、左右2枚ついているので大丈夫。明かりに透かすと年齢を刻んだ年輪のようなものが見えます。
この日の3番目の検体が小名浜港産のマコガレイ。マコガレイはこのあたりでは煮魚の定番として定着していますが、原発事故後は国の出荷制限がかかり、マコガレイは市場には出回っていません。はやくマゴの煮付け食べっちぇえなあ!
ミンチの状態ですでにしてすごくうまそうなマコガレイ。これに塩をふって練り練りして、板の上に載せて蒸したら「かまぼこ」になりますね。ネギやにんにく、生姜を入れて、醤油を垂らしたらナメロウにもなりますね。そんなことを考えつつ・・・
この日の最後の検体が小名浜港産シャコ! っておい、小名浜港にシャコいたんか! おれ知らなかったぁ〜。今回は22匹を1試料としてまとめて計測!
シャコは甲羅も入れてまるごとミキサーにかけ、それをマリネリ容器につめ、そして測定に移ります。なんとなく勿体ないような気がしますが、まあこれも計測のため。シャコ君ありがとう! これも「シャコしんじょう」のようにして食べたら意外とうまいかも。すり身に野菜を混ぜて揚げたり。
とまあ、今回も和気あいあいとした雰囲気のなかで計測が進みました。何と言うか、もう10回もやっていますので、イベントとしてかなり定着してきましたし、計測の合間に富原さんのいろいろな話も飛び出し、熱心に耳を傾ける方の姿も印象的でした。実際ですね、楽しいんですよこのイベント、すごく勉強になるし。
さて、肝心の計測結果ですが、結論から申し上げて、すべて予想通りN.D.でした。出ません。前回のうみラボ八木のレポートにも同様のことが書かれていますが、小名浜港で釣れる魚に関しては、もう何が連れても「それは食えますよ」と言っていい状況かなと思います。小名浜だけでなく久之浜も勿来も、そういう状況であると推察されます。
以下、計測にあたって頂いた富原せんせいのコメントです。
●アイナメについて
今年のアクアマリンパークにある釣り特別区はアイナメの当たり年で30〜40㎝のアイナメが良く釣れました。時には50㎝に近いアイナメも上がることがあったので夜な夜な釣りに出かけてしまいました。アイナメは東京電力福島第一原子力発電所の事故後、高い放射性物質汚染が見つかった魚です。しかし、現在は原発前の海域でさえ不検出か検出できたとしても低レベルの汚染の場合が多く、原発から55km離れた小名浜港のアイナメではこの数年、検出限界以下となっています。そのことを知ってか知らずか小名浜港のアイナメ狙いの釣り人が年々増えているのは喜ばしい限りです。
●マコガレイについて
当館の調査で最も手薄な魚の一つです。カレイ類は底魚で長寿なため放射性物質のモニタリングの生物としては重要なのですが、当館の測定機器は500gの筋肉が必要ですので、なかなか試料となるカレイを釣り上げることができずにいました。まあ、何より私がカレイ釣り(竿何本も投げて数時間放置して1枚釣れれば良いという釣り)が好きではないだけなんですがね。今年はマコガレイも当たり年で、原発事故後、漁業を自粛している影響で資源量も増えたこともあって、何とか測定に足る数を釣り上げられました。結果はN.D.です。耳石から年齢査定すると2歳魚1個体、4歳魚2個体、6歳魚1個体でした。6歳魚が混ざっていましたがN.D.と出たのは喜ばしいことです。
●シャコについて
投げ釣りの外道でおなじみのシャコです。泥底を好むため小名浜港には多く生息していますが、津波で泥が浚われてからはあまり釣れなくなっていました。震災から5年経ち、小名浜港の泥も戻ってきたようで、また釣れるようになりました。シャコを狙って釣るのは大変で、今回のシャコを釣り上げるのに延べ14日間夜釣りをする羽目になってしまいました。泥地に穴を掘って棲んでいるため当初は放射性物質の影響を受けやすいと考えていましたが、無脊椎動物で放射性セシウムを蓄積しにくいことと、泥に吸着した放射性セシウムは生物には移行しづらいことからN.D.となっています。シャコの旬は春なので、今度は食用で釣りたいですね。
というわけで、今回の調べラボ、オールN.D.となりました。うむ。繰り返しになりますが、いわき市の岸壁などの釣りは、もうどんな魚が釣れても安心してやって頂いてオッケーかなという印象ですね。前回の調べラボでは、線量が高めでお馴染みの「メバル」ですらN.D.でしたし、ほとんどの魚種で不検出になっています。出たとしても数ベクレル。漁協の自主基準値50Bq/kgに届く個体を見つけるのは非常に難しくなってきました。
特にアイナメは、鮮度が落ちやすい&高級魚なので、釣った魚じゃないとほとんど刺身では食えません。アイナメ刺は、釣り人の特権というわけです。なんですかね、私たちも継続して調査をしてきていますけれども、「調査のため」ではなく、「刺身を味わうために」魚を釣ることの楽しさには勝てませんね〜。
小名浜のアイナメ釣り
はい皆さんこんにちは。
うみラボけんきゅう員八木です。
昨年は1F調査を行わない冬の間「いわきの魚を測ってみよう」という事で、地元釣具店に協力してもらい「釣具店に持ち込まれた堤防から釣れる魚」で「持ち込んだ方が放射能が気になる」というものをピックアップして「アクアマリンふくしま」で測定してもらおうという企画を行いました。
釣具店でも「いざ魚釣ったけどちょっと放射能気になる」という方に実数値を示せ、その補足、説明もできる」という事で結構評判で今は放射能気になるから測って。という方は全くいないそうです(笑
そうそう、測る事が目的なのではなく
測る事によって今まで通り普通に釣った魚をもち帰る。測る必要すら無くなるという事が一番ですよね。
という事で今冬は僕はお役御免。家でまったりコタツでゲームとガンプラに明け暮れる超インドアオタク野郎として過ごすつもりでした。
だって寒いもん。
ところが!!!
そんな僕の余生を嘲り笑うかがごとく魔の獣医からメールが届きました。
しかも出かけられないときに!!!!ムキー!!
とみはら先生
シャコが釣れてるというので昨日アクアマリン先端で竿8本ぶっ込んでみました。
5時から19時までやってたのですが、本命のシャコは1匹だけ。
そのかわりにアイナメが結構上がりました。
写真には写ってないですがアナゴとドンコも。
足元狙いではアイナメのでかいのに逃げられているので、今日も昼からアクアマリンの先端でやるつもりです。お暇なら覗きに来てください。
ちょwおまwなにこれっwwww
いやまてこれは孔明の罠。この写真で私をおびき出しそれでも釣れない私をやーいやーいって馬鹿にする作戦だ。
こんな挑発には断じて乗らん!!
(いや、単に行けないだけで、しかも雪降りそうなので自分にそう言い聞かせる)
数時間後
富原せんせい
今釣り終了しました
雪で寒かったです(笑)
なんだこれは!!!なんなんだ!
そして翌日の日曜日。僕はお留守番で行けず。
富原せんせい
アイナメ30~37が4本 20~25cm4本
アナゴ8本その他諸々です
・・・orz
ここまで煽られたらねぇ。そりゃ行きますよ。
という事で仕事帰りにアクアマリン直行です。
うみラボおかっぱり部結成!!!(ぼっち感)
はい。この日は仕事帰りという事もありスマホの電池が切れてしまい写真がありません。
ほんと使えねぇ(泣)
この日は渋くて、最初ルアーで探ってみるも激シブ。富原せんせいも餌で激シブ。
寒くて心が折れて、餌に切り替え富原せんせいにレクチャーされ、ようやく大きめのアイナメかけるも痛恨のバラシ…orz
しかし、その後富原せんせいは40cmオーバーのアイナメを2本釣り上げました。
さすが!とおだてて一本貰っちゃいましたテヘ。
そう、釣れないマンにプライドなど無いのです。
更に翌日。
今回は充電もバッチリ!!!
夜の小名浜(意味深)に突撃です!
アクアマリン先端でイソメを餌に竿を何本も出して釣る作戦です。
今回は私も餌釣り。あまりに釣り日記になってしまうので細かい事は省略。
ドンコやアナゴが釣れます。
そしてまたしても大きめのアイナメをバラシ。
一言で釣りと言っても餌釣りとルアー釣りは全然違う。その難しさを痛感しました。
その後アクアマリンスタッフの吉田さんが見事アイナメゲット!
小名浜で今アイナメ釣れております!!
またこのアイナメは次回2月21日アクアマリンふくしまにて開催の『調べラボ』にて公開測定する予定です。
こちらの方も是非お楽しみに!
さて
ところで今、なんでアイナメなのでしょうか。
アイナメの『旬』は初夏〜夏にかけてと言います。
これは食べて美味しい旬ですね。夏のアイナメは脂が乗ってほんとに美味しい。
では何故この時期にアイナメが良く釣れるのでしょうか?
それはズバリ「産卵」なんですね。
アイナメの産卵は場所場所でだいぶズレますが一般的に晩秋〜冬にかけてと言います。
小名浜辺りでは10~11月産卵前にも「荒食い」をするのでだいぶ釣れますが、12〜1月は産卵時期なのでいったん食いが渋ります。
そして産卵が終わってちょっとしたこの時期徐々にまた食いが戻ってくるんですね。
そして面白い事に今回釣れた個体はほとんどがメスだったようです。
これにも理由があります。
アイナメという魚は漢字で書くと「鮎並」「鮎魚女」と書くそうです。
由来は「鮎並みに縄張りを持つこと」「鮎に形が似てる事」だそうです。
アイナメは縄張り意識の強い魚で、特に産卵期は「メスが産んだ卵」を「オスが必死で守る」という行動をとるそうです。
今回釣れたアイナメはほとんどがメス。きっと産卵を終えて疲れた体を回復させる為に餌を追い求めていたのでしょう。
そしてオスはまだ卵を守ってじっとしてるのかな。だからメスばかりこの時期釣れたんでしょうね。
と釣りを通じて魚の生態を知るというのも釣りの面白さの一つですね。魚の生態は知れば知るほど面白い。
そしてもう一つの釣りの楽しみ!!!!!
アイナメの刺身キター(・∀・)-!!
富原せんせいに頂いた40cmオーバーのアイナメを刺身にしました!!!!!
いくら旬が夏とはいえ、やはりこのサイズのアイナメは美味い!!!!!
先ほどの「鮎並」鮎並みに甘くて美味いという説もあるそうです。
特にアイナメは北に行くほど大きく成長する魚で、一般的に西日本では30cmくらいまで。関東で40cm。東北では50cm以上になると言われます。
また鮮度が落ちやすい魚でそこまで流通量も多くないそうです
と、いうことは大きくて美味いアイナメを食べる為にはやはり東北に行かなければならないってことですね!
しかしまだアイナメは福島県では試験操業対象外。
また一般の食卓にアイナメの煮付けが戻ってくるのを願って!!
それまでは釣り人特権を満喫するといたしますクククク
アクアマリンふくしま「第9回調べラボ」レポ
皆さんこんにちは。うみラボけんきゅう員八木です。
先日1月17日に今年初となる調べラボが開催されました。少し遅くなってしまいましたがその時の様子を皆さんにご報告です。今回はうみラボ主席けんきゅう員小松が不参加のため、臨時で八木が担当します。拙い文章ですがよろしくお願いします!
既にいつものようにうみラボけんきゅう員yajifunさんがtogetterにもまとめてくださっているのでそちらの方も合わせてお読みください。
togetter.com
さて!
1月に入り暖冬と言われた今期も冬の寒さが厳しくなっておりますが、いわきにはこの寒い冬にぴったりの食材がある事はご存知でしょうか。まず頭に思い浮かべるのは、いわき市の魚でもありますメヒカリ!
唐揚げ美味いっすよねぇ。一夜干し美味いっすよねぇ。しかし今回はそのメヒカリではなく!
アンコウ!!!
アンコウと言えば大洗のあんこう鍋がここ数年で一気に知名度が上がり有名になってますが、いわきでも大洗に負けず劣らず美味しいアンコウが水揚げされるんですね。特に茨城の北部からいわきにかけては一切水を使わず、あんこうと野菜(主に白菜大根)の水分だけで作る『どぶ汁』が有名です。
で、今回の調べラボ試験操業試食会は、なんとこの獲れたてのいわき産あんこうを使った『あんこう汁』が頂ける!! しかも無料で(入館料は必要)!! という訳で非常に楽しみにしておりました。
見たまえ!!浮かんでいるのはあん肝だぜ!!
味噌仕立て。コクがあって非常に美味かったでございます。
今回も会場からは「美味しい美味しい」の声が上がっておりました。是非この冬はいわきで美味しいあんこうを召し上がって頂きたいものです!
いわき駅にありますこの「いわき市総合観光案内所」にも「あんこう鍋MAP」というものがあるので、是非そちらも参考にいわきをお楽しみください
さて、あんこうの試食も大事ですが調べラボはやはり調べてこその『調べラボ』「でも冬場はいつものうみラボ1F調査やらないから何を測るんだろう」と思っておりました。しかしそこは天下のアクアマリンふくしま!ちゃんと試料は用意します! さすがや!さすが『行って良かった水族館ランキング全国2位!』器が違う!
その方法はと言うと!
調べラボ2週間前の富原せんせい「今回は小名浜の魚測りたいんですよね。なので堤防から釣ります。良かったらご一緒どうでしょう」ということで、堤防から釣り!!! わいいつもやってる釣り!普通に釣り!これが2位!!
という事でアクアマリンふくしまの皆さんと一緒に二週にわたり、堤防からの釣りを楽しんで試料調達に勤しんで参りました。今回はその「小名浜の堤防から釣れた魚」の測定結果をお知らせいたします。釣り人にとっても身近な小名浜の魚。5年経とうとする今現在どの程度の線量なのかもう一度知識をアップデートする良い機会なのかもしれませんね。そういえば「堤防で釣れた魚」のモニタリングっていうのもあまり聞かないですしね。
今回調達した試料はコチラの魚たち
釣り人にはおなじみのどんこ!(標準和名:エゾイソアイナメ)
ヒラメ!
クロソイ!
なかなか良い型の興味深い魚が揃いましたね。
早速測定結果及び富原せんせいの解説に行ってみたいと思います
富原せんせい「東北を代表する魚でドンコの名前で親しまれています。夜行性のため夜釣りで良く釣れます。アクアマリンふくしまの調査で震災の年2011年の6月に採集したものは3000Bq/kgほどありましたが、この数年はN.D.が続いています。2-3歳で25センチほどに育って最大35センチまで成長します。寿命は8年ほどで漁獲されるのは2-3歳がほとんどです。釣り人感覚ですと、貪欲に餌を食いに来る様子から、成長が早く、代謝も早いのではないかと思っています。ですので、事故当初は汚染された餌生物をたくさん食べることによって放射性セシウムをたくさん蓄積しましたが、現在は汚染されている餌生物も少なくなり、世代交代と相まって、小名浜港で釣れる魚の中では何よりも汚染度の低い魚になったのではないかと推察しています。逆に原発近傍のエゾイソアイナメは検出されるかもしれませんね。」
なるほど。
確かにどんこは外道として良く釣れる魚で、この時もテトラポッドの隙間に仕掛けと餌を垂らす「穴釣り」で頻繁にアタリがありました。30cm以上のどんこもあまり見かけないので30cmくらいまでのサイズなら、このような結果になってくるのではないでしょうか。35cmほどに育つらしいですが、それでも一匹で測れるほどの量はないのでそのサイズのものを測定するとしたら35cm程度のものが複数匹必要となるので測定は難しいかもしれませんね。
ヒラメ 小名浜港 N.D.
富原せんせい「50㎝ヒラメで2歳かな?と思ったのですが4歳の雄でした。雄は雌よりも成長が遅いので60㎝以下でも震災前生まれの個体がいます。今回の個体は原発事故後生まれですでに汚染が治まった海域で成長したためか放射性セシウムは検出されませんでした。我々の調査では2013年に小名浜港で採集したヒラメで数千Bq/kgの個体がいましたが、その後は低くなり2014年で10Bq/kg前後になりました。小名浜港のヒラメは釣り人から提供されることが多かったのですが、最近は低線量なことがわかって食用に持ち帰っているのか、検査の持ち込みは少なくなりました。そのため2015年はデータがありません。ぜひ「うみラボ」で小名浜港のヒラメを釣っていただきたいですね。」
ヒラメはうみラボ1F調査でも何匹も釣っているので、このサイズなら予想通りの結果と言って良いでしょう。あとは60cmを大きく超えるような個体を測定してみたいですね。
クロソイ 小名浜港 N.D.
富原せんせい「良型のクロソイです。船釣りではよく見かけるサイズですが小名浜港内のサイズとしては大きいです。耳石から判別したら4歳でした。クロソイはシロメバルやキツネメバルなどに比べると成長が早く、震災前生まれのクロソイは小名浜港ではなかなか見ることはできません。成長が早いということは、取り込んだ放射性セシウムの代謝排出も速くなります。他のメバル類の魚に比べて低汚染なのではないでしょうか。」
俗に言う「メバル類の魚」は「比較的線量が出やすい魚」でくくられている事が多いですが、メバル類でもクロソイはこんなに成長が早いのですね。このサイズ(44cm)で4歳とは。。。ちなみに釣ったのは僕ですが(ドヤ顔)このサイズでこの年齢なら、小名浜近隣で釣れるクロソイはほぼ5歳以下になってくるのかなと思います。
富原せんせい「25〜30㎝弱の良型メバルです。小名浜港のシロメバルは15㎝ほどの1-2歳魚が多く、アクアマリンの調査でも毎年、小型の個体を選んで測定していましたが、この数年はN.D.です。今回は大型のシロメバルを測定してみたいと頑張って釣ってきましたが結果は小さい個体と同様にN.D.でした。耳石を確認すると4、5、5、6歳。でかいやつは今ちょうど産卵期で満6歳です。30㎝を大幅に超えないと検出されないかもしれませんね。」
最後にメバルです。
今回はアクアマリンスタッフ吉田さんが俗に言う尺メバルを釣り上げましたが、死後硬直で縮まり当日測ったら29.6cm。と尺認定されませんでした(笑)実はこれ私も以前やられてます(笑) そもそも30cmを超える尺メバルというものは(特に陸からの釣りにおいては)釣り人の憧れ、ステータスにもなる大きさなんですよね。特にここ10年くらい前からメバルのルアー釣りが流行りだしてからは、メバル釣りが好きな人は血眼になって追い求めるほどのロマンがあるようです。そういったメバル釣りのHP等を見ると「一般的にメバルが30cmを超えるには10年程度かかる」と書いてある事が多いようです。
ところが! この尺メバル(吉田さんに敬意を表してあえて尺メバルと呼ぶ)は満6歳。
先ほどのクロソイもそうですが、やはりこのいわきの「潮目の海」はクロソイやメバル、アイナメが成長するのにもの凄く適していて、栄養豊富な素晴らしい海なんだと実感しますね。
またそれと同時に実感する事がもう一点。
私は十数年ここいわきの海でメバルも釣ってきておりますが、堤防から30cm以上のメバルを釣った事は2回だけ。アクアマリン吉田さんも私以上に長くこの海で釣りをしていますが4匹ほどしか釣った事がないそうです。それほどまでに貴重というかレアな存在なのです(もちろん西の海ではもっともっとレアになる)
それに今までのうみラボの調査から今現在比較的線量の出やすい魚の傾向として、特に1Fに近い場所でなければ
①比較的浅場に生息する魚で
②あまり回遊をしないで一カ所に居着く魚で
③長寿で震災時既に成魚で
④成長速度が遅く短期間で重量が増えない魚
である事がわかってきています。
この条件に合う魚だとメジャーな魚だとやはりメバルが筆頭にあげられるのではないかなと。またその他に「沿岸性の強いカレイ類」などもいるとは思います。ですので、もうちょっと「沿岸性の強いカレイ類で大型なもの」のサンプルも必要かなとは思いますが、今現在この小名浜の海域で30cmのメバルがこの数値なのであれば、「いわきで陸から釣れる魚を食べたいけどもう大丈夫かな」という人の質問に対しては、「もう大丈夫じゃないかな」と言えるんじゃないかと個人的には思いますね。
ということで1F沖調査が始まるまではまた「小名浜の魚」の調査をもう少ししてみたいなと思います!
アクアマリンふくしま「第8回調べラボ」開催レポ
みなさんあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。12月20日開催された調べラボの模様、年末忙しくてすっかりアップできずにおりましたが、遅ればせながらご紹介すべくこうしてキーボードを叩いております。遅くなってしまいましたが、ぜひ情報のアップデートをお願いします。
2015年最後の調べラボ。なんだかんだでもう第8回目です。じわじわと認知度も増していますし、試食はやはり大人気で毎回準備している100食も毎回完食してしまうほどです。試験操業の福島の魚が、こうして皆さんに愛されていること、いやあ、素晴らしいですね。
今回の調べラボ、特撰素材が「福島県産のマダラ」です。なにやらかなり個体数も回復してきており、一部報道では「震災前の5倍」ということですのでね、これはやはり食べずにはいられまいということで、今回は試験操業のマダラを使った「鱈汁」、そして「真子と白子の煮付け」の2種類が用意されておりました。
鱈汁に真子と白子の煮付けをぶち込んで頂くわけですが、この鱈のダシというのは本当にこうさっぱりしていて、今の時期に合いますね。浪江の地酒「磐城壽」の山廃なんかを熱燗にして合わせたいところですねーすいませんマニアックで。
こちらが鱈汁。身体に染み渡ります。
真子(卵)と白子の煮付け。少しあまじょっぱくてたまりませんがコレステロールには注意ですね。またこの甘みが熱燗に合うんだナァ〜。
さて、試食もほぼほぼに、放射性物質の計測です。先日のうみラボでは、久しぶりに海底土も採取しておりますので、こちらも計測しておりますので、海底土からざざざっと振り返って参りましょう。
試料① 原発沖1.5km沖海底土 Cs合計57.9Bq/kg
昨年は100Bq/kgは超えるような海底土が多かったですが、最近の調査では50Bq/kg台と順調に下がっています。富原せんせいによれば「原発前の海域は太平洋に面しているので拡散希釈されやすいのでしょう」とのこと。確かに海底は「泥」というより「砂」に近いですし、原発前の海域はかなり拡散されるようですね。
そして、あれ、放射性ヨウ素が検出されてるように見えます。
これ、アクアマリンふくしまの測定機器は「NAI」なのですが、核種の分解能が低いため、自然界にある「放射性鉛」を放射性ヨウ素として検出してしまうそうです。土壌の中には放射性鉛は多く入っていることも多いのでNAIでは正確に土壌の放射性物質量を測定できませんが、同一条件で測定を続けることによってある程度の増減がわかるとのこと。ちなみに、これが放射性ヨウ素だった場合は、半減期が短いので1ケ月後くらいに再度測ると、この値がかなり減るわけですね。そうすることでヨウ素か鉛かの見分けはつくということですね。ふむふむ。
試料② ヒラメ(原発沖3km沖) N.D.
続いての検体が原発沖3kmと比較的沿岸のヒラメですが、こちらはN.D.でした。ヒラメ、2015年に入りかなり低くなってきましたね。今回も原発直近でN.D.というのは喜べる結果です。富原先生に耳石を鑑定してもらうと「3歳」、つまり「事故後生まれ」ということになりますので、予想通り「N.D.」といわけですね。
ヒラメというと、汚染された海底の上に生息しているため、かなり放射性物質を吸収してしまっているように考えられている魚ですが、実際にはかなり下がっておりまして、我々が2015年に釣って計測したヒラメ、最も高いものでも20Bq/kg台と、かなり下がってきていますね。
富原せんせいによれば、なぜヒラメから放射性物質が検出されにくくなってきているかと言うと、
①海底土から直接、魚に放射性セシウムは移行しないこと。
②原発前の海域の海底土自体の汚染がそれほどでもないこと。
③ヒラメ自体が結構移動すること。
④成長が早く世代交代も早いこと。
⑤環境水とエサが汚染されていないこと。などがあげられます。
常磐沖で漁獲されるヒラメのほとんどは2〜3歳です。つまり、漁獲されるヒラメのほとんどが「震災後生まれ」ということですね。震災前生まれでも漁協の設定する自主基準50Bq/kgを超えるような個体は見つかりにくくなっています。相馬沖やいわき沖に限定すれば、試験操業の対象になっても問題なさそうです。
試料③ キツネメバル(原発沖10km圏内)4尾測定 Cs合計58.7Bq/kg
うむ、これはやはりセシウム検出されましたね。4尾合計ですが58.7Bq/kgと少し高めに出ています。富原せんせいに耳石を見て頂くと、2個体が6歳、もう2個体が7歳ということで、4尾すべてが「事故前生まれ」ということになります。
事故当時成魚だった7歳魚が混ざっていますので、やはり出てしまいますね。キツネメバルは根魚でほとんど移動しません。しかも長寿の魚なので、事故直後の汚染水の大量流出の影響がまだ残っていることも多いです。これはシロメバルなども同様ですね。
とはいえ、それでも100Bq/kgを超えるような個体は滅多に見つからなくなっているのは朗報と言ってよいと思います。
試料④ アイナメ(原発沖10km) N.D.
婚姻色の出たマッキッキのアイナメです。43cmということで中型ですかね。富原せんせいに耳石を見て頂くと「3歳」とのことでした。事故後生まれですので大きな汚染は見られませんね。ただですね、アイナメという魚は、小型(若いアイナメ)だとより沿岸に生息するため、放射性物質が検出されやすいという特徴があります。これがさらに大型になると、少し沖合に移動するので、その過程で放射性物質の排出も進み、線量も低くなってくるんですね。
アイナメの動向をさらに詳しく知るには、原発沖3kmくらいで「小型」を釣り、10km沖くらいで「大型」を釣ると、その成長過程でどの程度セシウムの排出が進むのか理解できるということですね。ということは、我々はさらに狙いを絞ってアイナメを釣っていく必要がありそうです。来年のうみラボ、さらに魚を釣りまくらねばなりませんな。
というわけで、2015年最後の調べラボ終了となりました。原発沖調査「うみラボ」は、4月までは冬場のため延期となりますが、計測イベント「調べラボ」は、1月17日を予定しております。次はどんな試食が出るのか! 乞うご期待!!
うみラボ第14回いちえふ沖調査レポ
皆さんこんにちは、うみラボけんきゅう員の小松理虔です。
うみラボ、今年最後の海洋調査に行ってきました。11月も末となりますと大変寒うございます。天気は大変よかったのですが、風がちべたくて大変でした。釣果のほうも、ぐぬぬ、といった感じで最高に芳しい感じではありませんでしたが何とかサンプルは確保しております!
ズズン!!
ズズズン!!!
ドヤァァァァァァァッ!!
ドサァァァッ!!
といった感じでして、いつも爆釣自慢をしているうみラボにとっては、なかなか厳しい釣果となりました。ヒラメが5〜6、マゾイも6〜7、アイナメ1といったところでしたね。普段の3分の1くらいかもしれません。もちろん計測には充分ですが。
今日は面白いものが釣れましたこちら!
うみラボ初の「マダコ」!!!
いやあ、これはうまそうなマダコだこと。刺身にしても、炊き込みご飯もうまそう。いやまあタコって何にしたってうまいですけれども。
しかしですね、マダコといえば、先日、漁協の決めている自主的な基準値である「50Bq/kg」をオーバーするマダコが見つかり、現在出荷の一時自粛が行われています。福島県産のマダコ流通してねえんです。
マダコの出荷を一時自粛 いわき市漁協・試験操業(福島民友)headlines.yahoo.co.jp
記事のマダコは小高沖(原発沖20km圏内)。今回うみラボで釣ったマダコは原発沖2kmくらいの海域です。放射性物質を溜め込まないはずの軟体動物であるマダコから50Bq/kg超えというのは気になっていました。なのでマダコ釣れるもんなら測ってみたいと思ってたんですよねぇ。今回首尾よくオクトパス野郎をゲットしましたので、こちらもしっかり放射性物質を測り、富原せんせいとともに、なぜ50Bq/kgの個体が出てくる事態になったのかも考察できればと思います。
と・こ・ろ・で、
今日は天気が非常によく、かなりあちこちクリアに見えました。このあたり、夏場は霧が出ますし、秋口も天気が悪いとガスったりしますので、今日のようにクリアに見えるのって貴重なんですよね。
本日の福島第一原子力発電所。粛々と作業が行われていました。かつての姿はもうありませんね。復旧に向けて作業が進んでいるものと思われます。作業されている方の安全と無事を祈るほかありません。皆さまおつかれさまです。そして作業、御安全に!
沖合20kmの風力発電も肉眼で拝めましたYo 再生可能エネルギーの研究もガシガシやって頂きたいですね。もちろん、漁業への影響のないように進めて頂きたいですが、それにしても海に浮かぶ風車は壮観であります。福島から次世代のクリーンエネルギーを発信だ!
今回釣った魚につきましては、12月20日に行われるアクアマリンふくしまの測定&試食イベント「調べラボ」で放射性物質を測ります。おいしい試食も登場しますので、ぜひぜひぜひ、ぜひ、皆さんアクアマリンまで足をお運びくださいませ。
私たちの海洋調査も、今年はこれで一区切り。また来年、海洋調査は続行しますし、冬の間はまた諸々面白企画を予定しておりますので、ぜひこちらのブログも定期的にウオッチしてください。
アクアマリンふくしま「第7回調べラボ」速報
皆さんこんにちは。うみラボけんきゅう員の小松です。
11月15日、日曜日です。第7回調べラボがですね、アクアマリンふくしまで開催されましたので、その模様をさっそくその日のうちに皆さんにお知らせしたいと思います。
いや〜、ここのところ海が悪い。
11月は、もとはと言えば8日に「うみラボ」の海洋調査をするはずでしたが、風と高波でお流れになり、その振替分として11月14日にも「うみラボ」開催日として皆さんにお知らせしてたのですが、こちらも風と雨の影響で中止。
うーん。この時期って風が不安定で、どちらも南風がかなり強くなりましてですね、久之浜に帰ってくる時の波がとても心配、ということでやむなく2連続での中止という憂き目にあいましてございます。自然相手ですからね。しかたありません。
ですので、今回の調べラボでは、福島第一原発直近の魚は計測できませんでした。
その代わりといっちゃなんですが、
今月のメイン食材も木戸川のシロザケです!
楢葉町木戸川のサケといえば、震災前から楢葉名物として名を馳せた特産品。福島第一原発の事故の影響で漁ができない状態が続いてたのですが、今年の秋にようやく漁が再開になりまして、普通に食べられるようになっております。
ええええええ? 楢葉町の川で獲ったサケなんて食べられるの?
と思ってしまう方も多いと思うのですが、安心して下さい、安全性が確認されてます!
●日本から遠く離れたアリューシャン海域、ベーリング海まで北上して育つ。
●原発から遠く離れた北洋で育つので、海水もエサもまったく汚染されていない。
●木戸川に戻ってくると、川ではほとんどエサを食べない。
●木戸川自体の水も1Bq/ℓ以下と非常に低い。
☞以上のような理由から、木戸川サケから放射性セシウムが検出されることはない。
☞というわけで漁が再開された。
というあんばいでございます。
もちろん、このような生態からの理由に加え、かなり綿密に且つ長期間にわたってモニタリング調査も重ねられており、慎重に漁の再開が判断されております。まずは、これまで調査や計測、そして簗場の再生などに携わってこられた方、皆さん大変ご苦労様でございました。
ただ、やはり目の前で放射性物質をしっかり測ってみようというわけですね。今回は、オスとメスを一尾ずつ計測。身体の大きなほうがオス。小さなほうがメスになります。11月くらいの時期になると、メスの身体の栄養が卵のほうに移ってしまうため、今の時期はメスよりもオスを食ったほうがうまいらしいですぜ。
アクアマリンふくしまの獣医、富原せんせいがサケをかっさばいていきます。
木戸川漁港の皆さんも愛用しているという、山形の刀匠が作ったという出刃包丁。刃が薄くしかも切れ味が最高。するするっとサケの身体と骨が切り離されていきました。
そしてこちらが、木戸川漁港の職人さんが考案したと言う「採卵刀(さいらんとう)」(だったかな?) メスのお腹に当ててサッと引くと、卵を傷つけることなく採取できるという、すばらしく使える道具です。
採卵刀をすすすっと引いていくと、サケのお腹のなかから宝石がざくざくと出てきます。
いやあ、イクラがたっぷりと出てきたときには、さすがに会場から歓声があがりました。やっぱりイクラが好きな人はたくさんいるんですよ。そして木戸川のサケが皆さんの注目の的になっているというのがすばらしい。すばらしいですねこの光景は。
そして、イクラ採取のデモンストレーションが終わると、サケの耳石の採取です。
うみラボファンの皆さんは、もうご存知ですよね、耳石。
耳石(じせき)とは、脳みそのそばにある器官で、年齢が木目のように刻まれているため、これを調べると魚の年齢がわかるんす。体長だけではおおまかにしか年齢が分からないため、富原せんせいが毎度耳石を取り出し、年齢を判定して頂いていました。
ただ、写真を見るとわかるように、サケの耳石ってちっせー! これじゃ目で見ただけじゃわかんないよね。
ってことで、今回は拡大カメラを使って、ウロコを確認して年齢を確認。ウロコも、耳石のように年齢が刻まれるため、耳石がわかりにくい場合はウロコを確認することも多いのだそうです。こんな風にしてウロコの年齢判断をします。
この写真だとわかりにくいのですが、確かに年輪のようなものが刻まれており、富原せんせいによるとこちらのオスのサケの年齢は5歳ということでした。
気になる計測値ですが、こちらのオスの放射性物質は、もちろんですが、検出されませんでした。
放射性物質の計測結果についてはまた後日こちらで詳しい解説とともにお送りできればと思いますので、先に進みます。
サケに続いて計測するのが、こちらの木戸川産マルタウグイ。木戸川のサケを採取するとき、簗場に引っかかっていたものを捕まえたものだそうです。
マルタウグイはかなり雑食性の強い魚で、特にこの時期は、サケが生んだ卵を食べるためサケと一緒に川を遡上するんだそうです。そして簗場に引っかかっちまったわけですね、マヌケなマルタ野郎だぜ!!!
で、こちらのマルタ、独特の匂いがあってほとんど食用されないので、金銭的な価値はなく、通常は流通しません。釣り人にも嫌われる魚だそうです。
しかし!!!!!!!!!!!!
今日の調べラボにいらっしゃっていた楢葉町の木戸川漁協の母ちゃんに話を聞いたら、このマルタウグイ、楢葉の皆さんは釣れた場合は刺身で食うんですって! 確かに小骨が多いのだけれど、切り方を逆に切って骨を切るように刺身にすればさほど気にならず、地元の皆さんは「にんにく醤油」で食うのだそうです。たしかに身もぷりぷりしてて、淡白な白身の身は確かにうまそう。
三陸などでは「タタキ」や「なめろう」にして食うんですって! オイラも食べてみたい。
しかしこのマルタ、沿岸に生息し、雑食性であり、海底の泥を食み、さらに汽水域を好むうえ、木戸川から福島第一原発あたりまで泳いでいく個体も多く、「放射性物質」震災直後から「線量高め」の魚として認識されていたそうです。「ほとんど食用されない」のでノーマークでしたが、そういう魚もいるわけですね。
そして本日最後の検体がこちら。
アナゴンダァァァァァァァッ!
なんじゃこりゃあああああ!!!
この怪物、小名浜産のマアナゴ。1メートル近い巨体に驚かされました。これだけデカいとおそらく震災前生まれですので、もしかすると放射性物質が検出されるかもしれません。しかしほんとこのマアナゴの巨大さよ。蒲焼き何人分だよ・・・。
いやあこれだけの身の厚さ、蒲焼きにして食ったらさぞかしうまえべなあ、と思っていたのですが、大きなアナゴは「刺身」で食ってもうまいそうです。うお! アナゴの刺身ですと? ちなみに小名浜港、けっこうアナゴが釣れることで知られておりまして、新鮮なものならやはり「刺身」で食うのもおすすめだと富原獣医。
そっかー。わたし小名浜生まれ小名浜育ちなのにアナゴの刺身食ったことねえズラ。
ぐぬぬぬぬ・・・・前述のマルタウグイといい、こちらのマアナゴといい、全然地元の食文化のこと知らなかったんだな・・・ぐやじい。いつかうみラボで食ってみたいですね。調べラボって「放射性物質を測る」イベントだと思われてますが、調べと書いて「たべ」と読むくらいですから、すなわち「食べラボ」なんです。魚のおいしさ、おいしい食い方を学ぶイベントなのです。
今はまだ「放射性物質を測る」ことも目的ですが、はやく測らなくていいようになればいいですねえ。
ちなみにマルタウグイとマアナゴの計測結果ですが、このような形になっております。
木戸川産マルタウグイ(2尾)でセシウム合計10.8Bq/kg。小名浜産マアナゴはN.D.でした。高い傾向だったマルタウグイが10Bq程度、そして震災前生まれと推察される巨大マアナゴがN.D.ですから、これは非常に喜ぶべき数値かなと思います。また後日詳しく解説しますね。
さて、調べラボといえば試食です。
今日のメニューは、
木戸川産サケの紅葉汁 feat.木戸川漁協婦人会の母ちゃん。
ほんとうめえ。
ザクザクと豪快に切り身にしたサケ、大根、里芋、人参、白菜などの野菜を赤みそとみりんなどでシンプルに味を付けて煮込んだ地元の味です。今回は木戸川漁協婦人会の母ちゃんたちのガチの味付けですよ。まずいわけがない。この時期には最高なのではないでしょうか。ックー、熱燗飲みたい。
そしてこちら、調べラボ名物「飲むイクラ」。
柚子が入っておりましてね、通常の醤油漬けよりもさっぱりと召し上がれる。試食が始まると、どこからともなくアクアマリンの安部館長がいらっしゃり、飲むイクラを味わっておられましたよ。館長も魅了する「飲むイクラ」、これ食うチャンスを逃したあなたは好きなだけ「ぐぬぬ・・・」しててください。
いやあ、調べラボ、写真だけ見ると完全に「食のイベント」ですよね。
でもね、これがまさに理想型。「測る」なんてせずに、普通に地元の魚を知り、おいしく食べる。そんなイベントが一番の理想です。別に皆さん「放射性物質の計測結果」に興味があるわけじゃない。単純に「うまい魚料理が食べたい」だけwww でも、それでいいし、それがいい。改めてそんなことを考えさせられました。
さて、今月は2回連続の延期となっているうみラボも、月末の29日に再度出港を予定しています。しっかり釣って、福島の海の今を、また皆さんにお知らせできればと思います。次回もぜひよろしくお願いします。