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いわき海洋調べ隊「うみラボ」活動のきろく

いわき市に誕生した、有志による団体「うみラボ」。けんきゅう員が日々の活動やイベントのお知らせを綴っていきます。

第8回うみラボ 福島第一原発沖調査レポ・マダラ編

みなさんこんにちは。うみラボけんきゅう員の小松です。

去る4月19日日曜日、今年度初の「うみラボ」福島第一原発沖海洋調査に行ってきました。結論から言うと、いわゆるひとつの「爆釣」で、マダラ、アイナメメバル、そしてソイなど、爆釣の名にふさわしく非常に充実した釣果でした。福島の海は、本来の豊かさを取り戻しつつあるという実感が、回を重ねるごとに強くなっています。

しかしながら、すべての魚が安全になったとは言えませんし、ブリッブリの食べごろに育っているのに未だに試験操業の対象になっていない魚種も少なくありません。福島の豊かさ、そしてその豊かさを味わうことの出来ない悔しさ、そして悲しさ。引き裂かれるようなそんな複雑な感情を、調査のたびに感じているところです。

では、調査の模様を振り返って参ります。

朝9時に久之浜港を出発。1時間かけて東京電力福島第一原子力発電所1.5km沖を目指します。途中、広野火力、福島第二原発を通過し、福島第一原発に到着するわけですが、これ何度も言いますけども、本当にこの地区は発電所銀座なんですね。この電気でもって首都圏の発展を支えているわけです。首都圏の皆さま、電気のスイッチを入れたら、どうぞこの光景を思い出して下さいませ。

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朝9時、調査船は久之浜港を出発。風は冷たいものの天候もまずまず。順調に調査が行われました。

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広野火力発電所。ここの発電所で作られる電気はみな首都圏で使用されています。東京電力管轄です。

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ひっそりと静まり返る福島第二原子力発電所。現在発電は行われていない。

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来るたびにクレーンの位置などが微妙に変わっている福島第一原発。作業員の皆さん、どうかご安全に。


さて、まずは原発沖1.5kmのポイントで海底土を採取します。こちらは毎度おなじみエクマンパージ採泥器を使用。アクアマリンふくしまの富原せんせいの手によって的確且つ迅速に採取されていきます。

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そしてこちらが海底土の計測結果。72時間乾燥後に測定しています。

原発直近の1.5kmポイントでありながら、想像以上に値は低く、Cs137が45.2Bq/kg、Cs134が7.74Bq/kg、セシウム合計で53.0Bq/kgという結果でした。うむ、これはうみラボ計測以来最低ということになりますね。

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富原せんせいによると、「一冬越えて海底の状況も変わったのかもしれない」とのこと。「何回か調査しないとわかりませんが、沿岸域の汚染は徐々に撹拌され薄まりつつ深場に移動しているので、原発前の海域でも同様なんだろうと思います。今、汚染水の問題で騒がれていますが、この数字を見る限りあまり影響してないようですね」(富原)。

確かに汚染水の問題は非常に心配されますが、海底土を見ていくと、今回の結果は非常に低いものとなり、海底土に影響を与えるほどの汚染水は出ていなさそうだ、ということが推察されます。しかし、ホットスポットも移動すると言われていますので、今回のデータをもってしてすべて問題なしということではありません。今後も継続して調査していきます!!


さて、今回のうみラボ、調査の標的をはっきりと「メバル」に設定しました。

というのも、メバルは、比較的浅い海域に住み、しかも移動が少ないので、原発事故直後からほかの魚種に比べて線量が高い傾向にあったんです。しかも20年近く生きる個体もいるので、原発事故後大量の放射性物質を取り込み、今なお生き延びているご長寿の個体が少なくない。そこで、メバルの動向を調査することで原発事故の影響を考察できるのではないかと考えたわけです。

ただ、船長によると、原発直近の海域の水温がまだ冷たく、まだ浅場にはメバルがやってきていないということで、今回は原発沖10km、水深50mあたりのエリアに移動し、サビキと呼ばれる仕掛けを使ってメバルを釣り上げます!! 

さあああ、釣るど!!  エイエイオー!!!!



釣り糸を垂らすと早速うみラボけんきゅう員の八木に当たりがぁぁ!!!

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なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!! 巨大ナマズかぁぁぁぁぁっ!?

と思ったら、マダラです。そう冬の味覚。鍋で、ホイル焼きでおいしい「真鱈」です。でもオラこんなデッケえマダラ見だごどねえ。こんなのスーパーでも魚屋でも見たことないっすよ? 全長1m近くはあったでしょうか、とてつもないマダラでした。

この日のためにリールを新調し、並々ならぬ覚悟で釣りに挑んだ八木。壮絶な格闘のすえに、見事この日の第一釣「巨大マダラ」をゲット! 888888888!!! 

(しかしこのあと八木は燃え尽き症候群のような状態になり、「オレ今日はもう釣りいいや」とか言って調査を放棄する始末。よほど満足感を得たのでしょう、その後しばらくボーーーッと海を眺めていました)




さて、その後の釣果はどうかと申しますと、もうすごかったです、マダラが。

うみラボアドバイザーの五十嵐泰正せんせいもマダラゲットーーーーー!!!

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同じくアドバイザーの津田和俊せんせいもマダラゲットでいい笑顔頂きましたーーー!!

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なんだろうこのマダラフィーバー

鍋何人前作る気だよ! と突っ込みたくなるようなマダラフィーバーでした。この日のうみラボには、万が一のために釣りの先生方にも参加頂いたのですが、先生方も続々とマダラを釣り上げてまして、もう船の上はマダラだらけ。メバルよどこ行った?

どうもですねえ、富原せんせいによると、試験操業で長く「禁漁状態」が続いたため、マダラが増えすぎちゃってるんだそうですよ。ただでさえ微妙な生態系のバランスが、試験操業によって漁をしていた頃とは別のものになっている。これは興味深いことです。

マダラを調査していると、胃の中からズワイガニなどが出てきたりすることがかなりあるそうで、事実、浜通り全体的にカニの数が減っていると感じている漁師もいるそうです。マダラが食い荒らしている可能性があるというんですね。

ううむ。

実はですね、タラという魚は「何でも食っちゃう」魚なんだそうです。食欲旺盛でとっても貪欲なので、なんと100種類以上もの餌を食べるのだとか。ちなみに「たらふく食う」という言葉は、文字通り「鱈の腹のようになるまで食べる様子」を表わしているそうです。

そうだったんだ! たらふく。なるほど!

さらにね、カニの仲間に「タラバガニ」っているじゃないですか! タラバ=鱈場、つまり「タラが多く棲息しているところ」で獲れるカニなので「タラバガニ」なんだそうですよ奥さん! 

いやあああ魚の話、面白いナァ。



はっ! 話を戻しましょう。

要するに、試験操業というのは事実上の資源管理漁業なわけですが、それによってタラの数が増え、生態のバランスに影響が出ていると言うわけです。漁業資源が豊かになり、それが100%喜ばしいことかいうとそうでもない。やはり適正に増やし適正に漁をするというのが、いいバランスなのですね。

ちなみにそのタラですが、すでに安全性が確認されており、試験操業の対象魚種になっています。ガンガン福島のタラを食べて、ズワイガニを守らなければなりません!!

で、今回の標的のメバルですが・・・・・・


釣れねえええええ!!!!!!

釣り糸を垂らしても、食欲が貪欲なタラがメバルよりも先に針に食いついてしまうんですね。そのせいで、メバルがいると思われる海域でも、まあ釣れない。タラしか釣れない。

というわけで、このポイントからは移動をします。船長によると、小良ケ浜沖に、メバルの釣れるよい漁場があるのとこ。早速この場から移動して、メバル狙いで再チャレンジします!!!

ではでは、メバルの結果については次回お送りするとして、先にマダラの放射性物質の計測結果をお知らせしておきます。



**** 計 測 結 果 ****

マダラ① 
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測定結果 ☞ Cs137 : N.D. / Cs134 : N.D.


マダラ②
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測定結果 ☞ Cs137 : N.D. / Cs134 : N.D.


マダラ③
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測定結果 ☞ Cs137 : N.D. / Cs134 : N.D.


ということで、3検体とも検出限界値以下というデータになりました。

今回は、この3検体以外にも、さらに2検体を計測して頂きましたが、すべてN.D.だったとのこと。体長から推察するとすべて3歳魚ということで「震災後に生まれた個体」だと推察されます。放射性物質がすでに希釈された海で育っているわけですから、まあ当然低いわけです。

富原さんによると、「マダラは大きくなりますが寿命は案外短く8歳。釣りで釣れるマダラは2〜4歳がほとんどだろうと思われるので、うみラボの調査で、今後マダラから10Bq/kg以上の放射性セシウムが検出されることはないだろう」とのことでした。

また、「冬場は浅場にやってきて釣りのターゲットになるマダラも震災前まではせいぜい100m前後くらいで、50m程度のとこでマダラが爆釣なんて今まででは考えられない」とのこと。かなり数が増えてきていることが推察されます。

さらにですね、タラという魚は3月〜4月にかけて福島県沖を移動し、その後北のほうへ長距離を移動する魚なんだそうです。ですから、原発事故直後に放射性物質を取り込んだタラが宮城や岩手まで移動し、その結果、震災直後に、宮城や岩手で線量の高いタラが見つかったわけですね。

しかし、今回の調査の結果、原発事故直近でN.D.。先にも申し上げましたが、福島県沖のマダラは試験操業の対象魚種であり、これまでの膨大な調査データを精査した結果、安全性が確認されているわけです。

今回のうみラボのデータは「原発沖10km」という比較的原発に近い海域であったにも関わらずN.D.でした。福島県や漁協、漁連などの関係各所が慎重に慎重を期して試験操業の対象に加えていることがわかります。本当に頭が下がります。

いやあ、それにしても、マダラがこんなに釣れるとは思いませんでした。本当はメバルを釣りたかったのですが、まあ、タラについていろいろ学ぶことができましたし、それはそれで大きな収穫だったと言えると思います。

何より、タラって体が大きいので、釣るには最高の魚です。わたしも1尾釣ることができたんですが、思わず竿を支える左の肩がプルプルいってましたよ。釣り上げた時の充足感は、今までうみラボで釣った魚とはまた違う格別のものがありました。

いやああ、楽しかった。

さて次回のうみラボブログでは、今回の調査の後編、メバルアイナメの調査結果についてお伝えしたいと思います。魚屋で福島のタラを見つけたら、ぜひおいしく召し上がって下さい。みんなでズワイガニを守りましょう!!