読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

いわき海洋調べ隊「うみラボ」活動のきろく

いわき市に誕生した、有志による団体「うみラボ」。けんきゅう員が日々の活動やイベントのお知らせを綴っていきます。

うみラボ「いちえふ沖測定ツアー」①実際に行ってみた編

いろいろなことを、まずは自分たちでやってみる。気になるところには実際に行ってみる。気になるものは実際に調べてみる。そのDIY精神こそが「うみラボ」の原点です。
 
福島県内の新聞やテレビで、連日のように報じられる原子力発電所のニュース。なかでも「汚染水」のニュースは、海好きの私たちの気持ちをほんとうにやきもきとさせています。悪いニュースが毎週のように更新され、心配な状況も続いています。
 
しかし、実際のところどういう状況になっているのか、実際にこの目で見たわけではありません。次第に、海水は果たして本当に大丈夫なのか、政府や東電に任せきりになるのではなく、自分たちで実際に確かめてみることはできないのか、いやいや、できるもんなら実際に確かめてみたい! そんな思いが募っていました。
 
そこで、同じようなことを考えていた有志たちと連絡を取り合い、とある漁船の協力を得て、福島第一原子力発電所そばに実際に行ってみることにしました!  その「いちえふ沖測定ツアー」の模様について、今日から数回にわけてご紹介したいと思います。
 
f:id:UMILABO:20131103121614j:plain
朝早かったもので、こんな写真しかなくて申し訳ありません。けんきゅう員と五十嵐せんせい(右)

 
11月3日。いわき市内のとある漁港に、10名ほどの有志が集まりました。これが後の地球防衛軍、、、いや、「うみラボ」の中心メンバーです。まあ、ただのいい年した海好き連中の集まりですけどね。
 
どシロウトだげじゃ何もできねえべよ、ということで、仙台から放射性物質の計測の専門家・津田和俊せんせい、そして、柏から社会学者の五十嵐泰正せんせいをお招きし、アドバイスを頂くことに。東京からは評論家の荻上チキさん、そして、ブログを書いていない某ブロガー(じゃあ何者よ)も心配してかけつけてくれました。
 
さあ、出発です。
 

f:id:UMILABO:20131103093035j:plain波の谷間に命の花を見つけたけんきゅう員。その見つめる先には・・・ 

けたたましいモーターの音とともにしょっぱい水しぶきが上がり、漁港の岸壁が見る見るうちに遠ざかっていきます!  いやあ、漁船ですよ漁船。「波の谷間に命の花が、二つ並んで咲いている」のが見えましたよ~。気分はもう、太平洋の荒波に立ち向かう海の男! (でも実際には凪)
 
福島第一原子力発電所まではおよそ1時間とのこと。ならば、途中までは福島県の浜通り沿岸を海から見ようではないか!  ということで、一行は、流れ行く景色を船の上から眺めながらの移動となりました。

f:id:UMILABO:20131103094331j:plain船上では皆さん写真を撮ったり意見を交換し合ったりと活発な雰囲気

いやぁ、とにかく風の気持ちいいこと。この日は本当に天候に恵まれ、舳先に立つと、いわきの海の美しさが視界いっぱいに広がります。これから第一原発沖に行くというのに、楽しんですいません。
 
しばらくすると大きな煙突が見えてきました。
 

f:id:UMILABO:20131103092258j:plain沿岸部に大きなプラントを構える広野火力発電所

広野火力発電所と、福島第二原子力発電所を海から巡る

広野火力発電所です。広野火力発電所は、いわき市南部の「常磐火力勿来発電所」と双璧を成す、福島県浜通りを代表する火力発電所。東日本大震災により甚大な被害を受けましたが、懸命の復旧作業もあり、2011年の7月には5つあるすべての発電機が復旧しました。

総出力は440万kW。原子力発電所がストップしているうちは、火力発電所に頼るほかありません。この地から、首都圏に向けて今まさにフル稼働で電気を送り続けていることを、首都圏の皆さまにアピールしておきます。
 

f:id:UMILABO:20131103094317j:plain震災の傷跡はまったく感じられない福島第二原子力発電所

広野火力発電所を過ぎるとすぐ、視界の左奥手のほうに白い煙突が見えてきます。海沿いに横に並んだ白い建屋。そして高い煙突。福島第二原子力発電所です。
 
震災時の津波の高さは9mと報じられています。原子炉冷却用の海水ポンプが危険な状態に陥ったものの、事故4日後には冷温停止に至り、現在も発電は行われていません。
 

f:id:UMILABO:20131103094142j:plainカメラをズームにすると、かなり大きく、そして近く感じられる

第一印象、「デカい!」。
 
タービン建屋のスケールは、日常生活では見られないとても巨大なもの。とにかくその大きさに驚かされます。そして、復旧が進んだこともあり、ほとんど無傷のように見えたことも印象でした。本当に多くの方たちが、復旧作業に尽力されたのでしょう。
 

f:id:UMILABO:20131211205247j:plain

※参考 福島第二原発と船の位置(青丸) 

「福島とエネルギー」を考える。普段だと、なんだか重たい気持ちになってしまいますが、海と風と太陽が気持ちよいからでしょうか、それとも、知ろうとする「好奇心」が勝るのでしょうか、船上には重苦しい雰囲気ではなく、むしろ「社会科見学」のような、とても活発な雰囲気が生まれていました。
 
皆さん、楽しんでらっしゃるなあ。
 
しかし、そんな社会科“見学”の時間もつかの間、地形に変化が現れてきます。海沿いは、鋭く切り立った崖が目立つようになり、時折、その切り立った崖から滝のように沢の水が海に注ぎ込むのが確認できます。
 

f:id:UMILABO:20131103093429j:plain写真の左のほうには沢が滝となって海に流れ込む様子が見える

―直に目の当たりにする「地形」
 
福島第一原子力発電所も、大熊町の「夫沢」という地名にありますが、原発付近の地形では、このように細い水脈が地中を流れているのだろうと想像できます。汚染水問題の深刻さを、不意に突きつけられることになりました。
 
恥ずかしながら、現場では「わー、地下水が流れ込んでるよ」「汚染水もああやって流れこむんだね」などと言いあい、ツイッターでもそのように情報発信したのですが、後日ツイッターで「あれは沢ですよ」と教えられ、地形の解説など大変勉強になりました。
 
※そのやりとりのプロセスはtogetter「海から見る福島第一原発 - Togetterまとめ」にもまとめられていますので、ぜひこちらを参考に。ご教授頂きましたみなさま、ありがとうございました!
 

f:id:UMILABO:20131103093446j:plain滝のように流れる沢の様子。こうした地形を直に見れるのがツアーの効果

垂直に切り立った崖は、どこも高さ数十メートル。その崖が途切れた谷間に立つ原発周辺は、明らかに人工的に削ったことが見て取れ、大きな自然に人の手を加えて原発が誕生したのだ、ということがわかります。
 
これまで新聞やテレビで何度も報じられた双葉郡の沿岸。こうして周囲の地形を目で直接確認すると、今まで受動的に受け取っていた情報が目の前の景色と合致します。「ああ、なるほど、こういうことだったのか」。そんなふうに腑に落ちる。現場に行くことの最大の効能かもしれません。
 

f:id:UMILABO:20131103094537j:plain写真がブレてしまいましたが、こちらが観陽亭。色鮮やかな暖簾が印象的だった

福島第一原子力発電所そばにある富岡漁港は、津波の被害を受けたそのままの状態になっていました。漁港のそばの丘の上には、美しい眺望がウリだった旅館「観陽亭」も見えます。津波は、この観陽亭の2階にまで到達したといいます。
 
震災から1000日を超えましたが、行方不明者の捜索はまだ続いています。「何も進んでいない」現状に、ただただ言葉を失い、船上の参加者からも、なんとも言えないため息ばかりがこぼれていました。
 
厳しい現状を目の当たりにするのは辛いことですが、直接その場へ行き、自分の目で見ることでしか得られないものがあります。自分の目で確かめる、その大事さを噛み締めた瞬間でもありました。
 

f:id:UMILABO:20131103100757j:plain出航から1時間。遠くに見えてきた福島第一原子力発電所

そしていよいよ、一行を乗せた船は、福島第一原子力発電所に到着します。
(続きは後半で)